他方、政党の舵取りを担う党首には、党の政治的主張と国益の実現のため、全力を傾注することが支持者から期待されており、こうした両者の立場の違いと職責の重大さにかんがみれば、知事が国政の政党の党首を兼ねることは、およそ考えられない。
しかるに、嘉田由紀子知事は、平成24年11月、新党を結成し、滋賀県知事に在職のまま党首に就任した。以来、選挙期間中ばかりでなく、その後においても、党務のために公務を離れ、県外に出ることも多々見受けられる。
知事職は激務であり、諸会合については、現状でも副知事の代理出席とならざるをえないところ、今後も政党用務が続くことになれば、知事本人の出席の機会が更に少なくなり、県民の期待に応えられなくなるとともに、庁内執務についても、十分な協議のための時間確保が困難となり、県政運営に支障を来すことが予想される。
また、国会および県議会が政党を中心として構成、運営されていることからすれば、知事がその重要な役職に就き、特定の政党色を鮮明にすることは、得られる効果よりも県益を損ねることの方がはるかに多いと危惧される。
もとより、知事の政治活動が禁止され、または執務時間が拘束されているものではないことは当然であるが、滋賀県民141万人の明日を預かる知事として、今回の両者の兼務は、あまりにも異常な事態である。
よって、本議会は、嘉田由紀子知事に対し、速やかに知事と国政政党の役職の兼務を解消するよう、強く求める。
以上、決議する。